離婚前提策略婚。【改訂版】

神田家の決断

「これで何度目だ、龍成のマスコミ沙汰は!!」


とある会社の社長室。厳かな雰囲気には似つかわしくない怒鳴り声が、部屋中に響き渡る。


「あなた、あんまり怒ると血圧が…」

「怒らないでいられるか!なんだこの記事は!会社に泥を塗る気かあいつは!!」

「いくら言っても聞かなくて…」

「聞かないなら違うやり方があるだろう!甘やかし過ぎだ!いい歳にもなっていつまでも遊び腐って!カードを持たせてるのはお前だろう!?金があるから調子に乗って働かないんだ!」

「カードは以前没収した時、女性のお宅に住み着いて養ってもらっていたみたいで…。そんなことを続けさせるわけにはいかないので渡したんです」

「…女に養ってもらっていただと?」


龍成の父、龍一は妻の麻友の言葉に絶句し拳を震わせる。


「これ以上野放しにしておけん」


震える手を抑え、大きく息を吐きながら龍一は決断する。


「あなた?」


龍一の形相に不安を隠せない麻友。


「龍成を結婚させる」

「─えっ…」


予想外の龍一の発言。麻友は口に手をあて言葉をなくす。
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