クールな御曹司にさらわれました
1.拉致されました



夜の闇の中でも連れ込まれたのが大きなお屋敷であることはわかった。ざっと見まわして、お屋敷の終わりと外周が見えない程度には。

私は後ろでに両手をまとめられ、引っ立てられるように、通用口から屋敷に押し込まれ、廊下を進まされた。
モダンな近代建築だけど、飾られた置物や、活けられた花は和テイスト。趣味がいい~。そして、お金持ち感半端ない~。
なんて観察してる間に、二階の奥の一室に押し込まれる。

突き飛ばされ、無様に床に転がった。毛足の長い絨毯様が私の身体を柔らかくキャッチしてくれましたがね!私を誘拐した男の百倍はこの絨毯様の方が優しいわ!
男は一言もしゃべらず部屋をあとにし、私はすぐさま身体を起こす。

「逃げなきゃ……!」

立ち上がり、一番手近なドアに飛びつくも外側から鍵がかけられるという、なんとも監禁におあつらえ向きな構造であることに気づく。どんな用途で作られたんだ、この部屋。
ドアは諦め窓に向かって走る。駄目だ。予想してはいたけれど、はめ殺しの窓はびくともしない。とりあえずがたがたと揺さぶってみる。窓ガラス割っちゃおうかな。まさか強化ガラスってことはないでしょ。待って、割ったところで窓枠狭すぎて、いくら私が小柄でもここから脱出は無理だ。
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