島…君をレンタルしたいカナ
予想外
ああ寒い。
手も足も頭も寒い。

布団に入ってても寒いってどうなの。
この部屋の寒さって言ったら尋常じゃないよ。
私がいくら丈夫だからって、エアコンも付けてもらえないなんてツラ過ぎる。


だけど、文句なんて言えないんだ。
私はいい年をして今だにパートでしか働けてない。

だから、お母さんには迷惑をかけれない。
食費もまともに出せない給料しか貰ってないんだもん。
文句なんて言ってられない。


「だけど寒いよぉ〜」


布団から漏れ出る息が白くなる。
寒い寒いと言ってたところで温もらないんだから、さっさと出て電気ストーブくらい点けておくか。


もぞっと毛布を握りしめたまま布団から滑り出る。
ストーブを点けた後、そのまま毛布を背負い込んでケージの前まで進む。


「寒いね〜、リスちゃん」


私と同じように顔の先だけを巣箱から覗かせてるシマリス。
薄いピンクの可愛い鼻がヒクヒクしてる。

きっとこの部屋の寒さが酷過ぎて出るに出られないんだろう。
せめても…と思って、電気ストーブを近づけてやった。
これで巣箱から出てくる気になってくれればいいんだけど。



「……何やってんだよ、姉ちゃん。いつからモモンガになったんだ?」


遠慮もなく、ドアをいきなり開けた賢太。
毛布をひっ被ってしゃがんでる私て見てモモンガだと言いのけた。


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