イケメンなんか大嫌い
壊したい衝動

今一度、憂鬱な週明けを過ごしている。

火曜日の昼休み、自席で食後のコーヒーを啜りながらスマートフォンの画面を睨んでいた。
連絡をどうして良いかわからない、なんてこれまでに経験のない悩みを真剣に抱えている。
考えていたよりもずっと、恋愛初心者めいている自分に呆れ果てる。

昼休みも、帰宅途中の電車の中でも、頭を悩ませていたが結局連絡をしないままに部屋へ辿り着く。
今週はまだ勤務中の電話すらしておらず、嘆きたい気分でやさぐれながら、焼き魚と味噌汁で手抜きの夕食を済ませた。

シンクへ運んだ食器を蛇口から吹き出す水で流しながら、唇を結んだ。
……決して上手く行っていないわけではないと思う……多分。
会って感じていた甘い雰囲気は、嘘ではなかったはずだ。
なのに心に纏わり付くもやの正体は、一体何なんだろう──


『マルミヤスーパー様の件、どうなってますか。付帯工事完了の報告してから何日か経つと思うんですけど』
「……あっ……工数調整出来ましたんで、メールしますっ」

『工事日近付いて来てますんで、早目にお願いします』
「……はい、すみません……」

水曜日の昼間際、“市川さん”から電話が掛かって来たかと思えば、回答が遅れていたオーダーの催促だった。
今朝工数の確認が取れてから、他の仕事が立て込んでいてまだ返信は出来ていなかった。
しかしあまりにも業務的な会話内容に、何処となく気が急いてくる。

< 151 / 209 >

この作品をシェア

pagetop