愛され系男子のあざとい誘惑
ずっと一緒にいたいから
ここに来て、もうすぐ三週間。とんでもない結婚発言の後、更なる爆弾を落とした社長。もといヒロさん。

「そうそう言い忘れてた。もし、1ヶ月過ぎても結婚に踏みきれないのなら、優美ちゃんを無視して結婚する!それ以外の選択肢はないから」

ありえない。どうして普通にお付き合いをするという選択肢がないんですか?と言いたかったけれど「俺と結婚したくないの?」なんて言われて結局「分かりました」と答えるしかできなかった。

私はあれから一度もこのビルから出ていない。仕事は?と思うだろうけれど、ヒロさんが私を住み込みの専属家政婦として雇いたいと会社に伝えたらしい。当然会社は二つ返事で了承。私は二階のフロア担当からヒロさんの専属家政婦になってしまった。


京香にそれを話すと『良かったわね、幸せ、自分で掴んだ優美は素敵よ』と泣きながら言ってくれた。本当に京香には感謝してもしきれないくらい。本当にありがとうと何度もお礼を言った。



「そんなことしなくていいのに。優美ちゃんはここにいてくれるだけでいいんだよ」


専属家政婦という名がついている立派な仕事なのだから仕事をしていると、たまにヒロさんが戻って来て、私をソファやベッドに沈めた。そんな愛されていると実感できる日々を私は送っていた。
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