『恵比寿、恵比寿です。お降りの際はお足元に気をつけてー……』



アナウンスに導かれるように、電車を降りる。

『恵比寿駅』と書かれた看板をくぐり駅から一歩外へ出れば、5月の空には眩しい太陽が輝いていた。



カップルや若い女性でにぎわう日曜日の街の中、キョロ、と辺りを見渡せばこちらに手を振る姿を見つけた。



「杏璃」

「あっ、結花ー!ごめん、遅くなっちゃった!」

「いいよ、杏璃の遅刻は慣れてる」



駅を出た先で待っていた、腰までのロングヘアが目印の友人・結花のそのひと言に苦笑いを見せると、ふたり肩を並べて歩き出す。



軽く巻いた茶色い髪と、濃いめのマスカラ、明るい発色のピンクのグロス、としっかりと整えた身なり。

それに加えて、薄手のニットに白地に青の花柄のフレアスカート、7センチのヒールの白いパンプスというお気に入りの爽やかコーデで街を歩き向かうのは、ショッピングでも映画でもない。



ずばり、私にとっての天国だ。