旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



今日も空は爽やかな晴れ。

6月に差し掛かっても天気のいい日が多く、今年の梅雨は雨が少なくなるとテレビで言っていた。



そんな空の下、私の部屋は玄関から右手に入った部屋……そう、あのピアノ部屋にあった。



開けた窓からは風が入り込み、カーテンを柔らかく揺らす。

その心地よさを感じながら、柔らかな布でピアノの表面を拭くと、漆黒の屋根が艶めいた。



「これでよし、っと」



先日玲央さんに『自分が大切にする』と言ったこのピアノ。

翌日から早速、仕事の合間にピアノ掃除はどうやるのか、なにが必要なのかをインターネットで調べて、道具を揃えて……と、こうして掃除にとりかかった。



けど、しまい込まれていたにしては埃が薄いから、恐らく前の使用人さんも度々こっそりとこの部屋の掃除をしていたのだと思う。



それにしても、本当にいいピアノだなぁ。見た目も綺麗だし、音もいいし……。

『STEINWAY』と書かれたこのピアノは、調べてみればスタインウェイという高級なピアノらしい。

価格は平均、1000万越え……。



傷をつけるわけにはいかないと、拭き取りひとつにも手つきが慎重になるわけだ。



そう苦笑いをこぼしていると、ポケットの中のスマートフォンが突然ヴー、と音を立てた。



「電話……?」



誰だろう、結花かな?

前の会社が倒産して以来、日曜のランチを断っているし……と結花の顔を思い浮かべながらスマートフォンを取り出し見ると、そこに表示されているのは『着信・立花玲央』の文字。




< 64 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop