社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編

今は一緒にいたい

「長嶺、来月から始まる統合テストに参加してくれるか?」



進捗会議で坂本さんが発言した。私は資料から視線を移した。



「3年目だし、一人で大丈夫か?」


「一人で?」


「初日だけは長野を同行させる。」


「はい………。」



初めての一人だけでの出張に不安が隠しきれていない。


坂本さんは気にする事なく会議を進める。



「社長、テスト期間は通わせますか?それともホテルに?」


「…………。」


「社長。」


「あっ、ああ。そうだな…………、スケジュール的に通わせるのはキツいか?」


「何もなければ大丈夫でしょうが。多分、障害が発生すれば難しいでしょう。」



チラリと社長を見れば、じっと私を見つめている。



「社長、長嶺の負担を考えれば宿泊させたいのですが。」


「………。」


「社長、通わせるより宿泊の方が宜しいと思いますが。」



珍しく長谷川さんが社長に助言をしている。その間も社長はじっと私を見つめている。
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