こいつ、俺の嫁。
5話「そんな顔、俺以外に見せるなよ」




蝉が大活躍する夏。




文化祭が終わってしばらくしたら嬉しい夏休みがやって来た。




いや、全然嬉しくない。




「…なんっでテツの分の課題もやらなきゃいけないわけー!?」




戻ること数日前。




部活の帰り道にふと言われた。




「あ、俺の課題もやっといて」




食べ終わった食器片付けといて。




みたいな軽いノリで言われたこと一言。




理解するのに数秒遅れて、気付いたらあたしの両手いっぱいにテツの夏休みの課題が抱えられていた。




「大体学年違うよね!?
解けるからいいけど……いや解ける解けないの問題じゃなくて!」




心の声のつもりが、気付けば口から出ていた。




周りの人に怪しい目で見られ、慌てて口を手で覆う。




「まぁ、そんなカリカリすんなよ。
なんだかんだやってあげて偉いじゃねぇの」


「そうだけどさー…」




尋人さんが紅茶のおかわりを持ってきてくれた。




あたしは喫茶店・ラヴに来て自分の分とテツの分の課題をやっている。




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