溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
好きな人、いるの?

 来る日も来る日も、社長は私を“白埜さん”と呼ぶようになった。
 そうしてほしいと言ったのは自分なのに、入社したばかりの頃にタイムスリップしたようで違和感が強い。


 広報部の女子社員のデスクには、鳥さんが点在している。まるでブルーメゾンのマスコットにでもなったかのようだ。
 秘書の1人が用があってやってきた時は、あまりの鳥率に青ざめた顔で視線を落とし、それらの視線から逃れている様子だった。
 もしかしたら、社長が言っていたのは本当なのかもしれない。




『それでは、今日の夕方お迎えに上がりますね』

 携帯のメッセージアプリで桃園社長とやりとりをする。
 まだつき合ってはいないけれど、鳥さんをいただいた時に女子社員のデスクに飾った写真を送ったら、そこからメッセージアプリのIDを聞かれて……。

 おかげで、親近感だけは間違いなく持つことができた。

 幸せの青い鳥は有名だけど、南国チックなド派手な輝きの鳥というのは聞いたことがない。




< 49 / 251 >

この作品をシェア

pagetop