俺様社長の溺愛宣言

零士side

「…御崎社長、あの、お仕事は」
「…大事な案件は済ませてある、後は副社長に任せてあるから心配ない」

こんなときにも関わらず、俺の心配をする満里奈に少し可笑しくなってクスッと笑う。

「…何が可笑しいんですか?」

困った顔でそう言った満里奈の頭を撫でると、満里奈の頬は赤くなる。

「…いや、自分の事より俺のことを心配する満里奈がなんだか健気で」

「…」

更に顔を赤くした満里奈は、俺から顔を隠すように、車の窓の外に顔を向けた。

「…あの、御崎社長」
「…ん?」

「…何処に向かってるんですか?」
「…俺の家だけど」

ゴツッ。…。

驚いた満里奈が窓ガラスに頭をぶつけていた。

「…な、なんでそんなところに」
「…満里奈の家には、満里奈の兄貴がいるし、他に二人になれるところなんて、そこくらいしか思い付かなかった」

「停めてください!降ります。降りて帰ります」
「…無理やり兄貴と結婚させられることになっても?」

…車は赤信号で停まった。

「…それは」
「…連れ出したのは、間違いだった?」

俺の言葉に、ブンブンと首を降る満里奈。俺はまた、満里奈の頭を優しく撫でた。

…まもなくして着いた俺の家。

長ソファーに満里奈を座らせ、俺もその横に座る。

「…御崎社長」
「…もうあのアパートに帰すつもり無いから」

俺の言葉に、満里奈は目を見開いた。

「…満里奈、今聞かせて、満里奈の気持ち。俺が今とってる行動に、間違いがないことを確信したいんだ」

…しばらく満里奈は俯いたまま、言葉を発することはない。でも俺は、急かすことなく満里奈の答えを待った。



「…私は…御崎社長の事…


好きだと思います」




その言葉を何度聞きたいと思っていたか。


俺は、満里奈を抱き寄せた。
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