魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
Lily3 どうかあなたのお傍に


薄紫のワイシャツ、チェックスカート、それから白いブレザー。最後にスカートと同じ柄のリボンを首元につけて、着替えは完了。

鏡に映る自分の化粧っ気のない顔はそのままに、前髪を整えて部屋を出る。

廊下を歩いていると、すれ違った草下さんに「誰かと思った」と言われてしまった。森田さんに至っては、「お前も女子高生だったんだな」と感心される始末だ。


「蓮様、失礼致します」


ドアをノックし、静かに入室する。

椅子に座り本を読んでいた彼が、つと顔を上げた。
薄紫のワイシャツ、スラックス、白いブレザー。ネクタイを軽く締め直すと、蓮様は私を見るなり、ぽつりと呟く。


「……誰?」


蓮様まで……!
この期に及んで顔も覚えてもらっていないのか、と落胆する。全員揃いも揃って、私を珍獣のように扱うのをやめて頂きたいところだ。


「私です、佐藤です! ご準備ができましたら、学校へ参りましょう」


今日は入学式。蓮様の通う学校は私と同じ、聖蘭学園だ。
登下校は彼と一緒に、と竹倉さんから言い渡され、こうして部屋まで赴いたのである。自家用車で送迎はしないのか、と聞いたところ、車で登下校をすると御曹司やご令嬢だとバレて、かえって危険なんだとか。


「先に行ってて。僕はもう少しこれ読んでから行く」

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