高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
新参者ですがトキメキ中です。
藤崎社長の質問に対してモヤモヤとした思いでいっぱいだけれど、与えられた仕事を全うしようと気合を入れ、いつものように会社へ向かう。

昨日の帰り際まで降っていた雨は今朝になってあがってきたが、その分、湿気でうっすら汗ばむ。

ハンカチで首元の汗を拭き、事務所のドアの鍵を開けようとしたところ、すでに鍵が開いていた。

事務所の明かりもすでにともっているが、所内をあやしげにうろつく男性がいる。

こげ茶色の上下のスーツに白いシャツ、同色のネクタイを締めている。

肌は少し浅黒で、髪型は束感のある栗色のショートヘア。

その髪型に似合う面長の顔には、きれいに揃えられた太さのある眉毛、切れ長の目にすっとした鼻。

ちょうどいい厚さの血色のいい唇。

わたしをみるなり、目を輝かせながらこちらへやってきた。

「かわいい子だね」

「え、あの、どちら様で」

「ふーん、社長もいい子捕まえたみたいだなあ」

と、わたしの頭の先からつま先までじろじろとみている。

しかし、どうみてもモデル体型で端正な顔立ちの男性がこんなところにくるなんて。

社長の知り合いってどういう人なんだろう。
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