王子様たちのシンデレラ(仮)
case.2

Live Tour 1st Days

【陽太side】
「美月ー、彩羽まだ起きねえの?」




「声がでかいよ陽太!起きちゃうでしょ?昨日はあんたたち待って起きてたんだからゆっくり寝せてあげて?」




「んー」




早朝4時過ぎ。ロケバスの中、一番後ろの席ですやすや眠っているのは彩羽。




仕事なのにクラスメイトがいるという感覚に俺は朝からそわそわしている。




「彩羽ちゃん初仕事だし、緊張してるのかな」




隣に座る蒼が彩羽を見つめてクスッと笑う。




「よく起きねえよな、ベッドから運ばれたっつーのに」




4時に家を出ることは昨日聞いたはずなのに彩羽は起きず、俺が抱えてこの車まで運んできたんだ。




「陽太、そんなことより2曲目と3曲目の間のMC、考えたの?」



「俺には無理だから蒼、任せた」



「おい陽太、それでもリーダーかよ」



「だってわかんねえもん」




リーダーやってるのだっていやいや。第一リーダーを決めるときにじゃんけんで負けたからだ。




「高速降りたらしばらくトイレいけねーからなーガキどもー」




「アユ、口悪くねえ?」



「うるせえがきんちょ!!なんでオフの日の朝4時からガキども連れて埼玉いかなきゃいけねえんだよ!!」



本日の運転手、同じ事務所に所属する別のグループのマネージャーで、美月の幼なじみである柏木歩人(かしわぎあゆと)。通称アユ。



「がきんちょがきんちょって、おっさんくさいことばっか言ってるとさらに老けるぞ」



「もっぺん言ってみろ晴仁、てめえぶっ飛ばすぞ」



口は悪いけど(多分)根はいい奴。


何か知らないけど美月の尻に敷かれてるのは一目瞭然。




「おい歩人!!ちんたら走ってると蹴っ飛ばすわよ!」



「わ、わかってるっつーの」



ちなみに美月は元ヤン。

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