王子様たちのシンデレラ(仮)

スキ

【陽太side】

『陽太』




小さかったけど、確実に聞こえた。


彩羽の笑い声、俺の名前を呼ぶ声。あの声は……きっと。




俺の耳がついにおかしくなったのかもしれない。彩羽に会いたすぎて。




それでも俺は、馴染みのある住宅街を一目散に駆け抜けた。




今は午後7時半過ぎ。もしかして彩羽は……ライブを見てたのか?でもなんで急に戻ってきたんだ?連絡は?


3年前、手紙を残して消えてからケータイを解約したらしく音信不通だった彩羽。



この3年のうちに誰かと連絡を取ってたのか?




「…っ」




こんな事考えても仕方がない。とりあえず今は……家に帰るのが第一だ。




バタンッ!




乱暴に玄関のドアを開け、靴も並べずに明かりのついているリビングに向かって走る。




「はぁ、はぁ……」




ゆっくりドアを開け、光が差し込んだのと同時に。




_俺の前に、3年間一度も見ることができなかった彩羽が現れた。




「い、ろは…」




「お帰り、陽太」




「ただいま、って……セリフ逆だろ…」




俺はそのまま彩羽を抱きしめる。




メンバーやら彩羽の親友やらが騒いでいるけどそんなのどうだっていい。




会いたくて会いたくて仕方がなかった俺の想い人が、ここにいる


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