暗黒王子と危ない夜
「心当たりは?」
「ない」
「だったらどうやって」
「………なんとかするよ」
「……三成くんは、何か知ってたりしないかな?」
とりあえず本多くんと繋がりのある人の名前をあげてみたけれど、中島くんは静かに首を横に振った。
「本多は自分の起こしたトラブルに、俺以外の人間を巻き込むことは絶対しない。なんでか知らないけど、周りの人を傷つけることを極端に恐れてる」
そういえば本多くんはあの夜も。『巻き込んでごめん』って、あたしに何度も謝ってた。
……あたしよりも、本多くんの方が傷ついているんじゃないかと思ったくらいに。