暗黒王子と危ない夜

それだけ言うと本多くんは歩きだし、周りを囲んでいた人たちは慌てたように道をつくった。


三成くんとあたしもあとに続く。

左右に立つ全員が、本多くんに憧れや尊敬の眼差しを向けていた。

中島くんを除いては、誰一人として座っている人はいなかった。


コツ、コツ……。

あたしたち三人の足音しか聞こえない。

中島くんの座るソファの前で、本多くんは足を止めた。



「三成はどうする?」

「俺はバイクの手入れとかしてーし、1階に残るわ」

「わかった。相沢さんは好きにくつろいでていいよ。中島が相手するから」



中島くんはスマホから顔を上げると、にやっと笑ってみせる。


「ひとまずここ座りな?」と自分の座っている隣をポンポン、と叩いた。


促されるがままに腰をおろす。


「本多は何すんの?」

「おれは2階で調べもの。終わったら下りてくるから」
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