暗黒王子と危ない夜
よほど急いで打ったのか、句読点すらないのに。
それでも昨日のことを気にかけてくれているのだとわかる。
急いで返信しようとするものの、何と送るべきか迷って手が止まってしまう。
カフェに誘われたから、今日は送ってくれなくても大丈夫だって伝えなくちゃ……。
だけど、三成はわたしのことを思って本多くんに頼んでくれたんだから、それを三成を介して断るのは失礼な気がして。
【ありがとう】とだけ打ち込んで送信する。
本多くんには自分から理由を話して断ろう。
ふたりきりになる勇気はまだなくても、そのくらいはあたしが直接言うべきことだと思うから。
まだ教室には来ていないみたいだけど、放課後までに、一度は必ず教室に顔を見せるはず。
そのときに話しかけるしかない。
本多くんの電話以外の連絡先を、あたしは知らないから──。