暗黒王子と危ない夜
キス
◆◆


「今日、雨ほんとに降るのかな!」

「今のところ気配ないね〜。うちバイトあるし、このまま降らないでくれたら助かるんだけど〜。……てか、萌葉ちんは寝てるの?」


「ああ、なんか朝からずっと眠いて言ってた。てかよく机で寝れるよね、私痛くてむり!」

「萌ちんが寝不足って珍しくない?……なんか悩みでもできたのかな〜?」


「あー……恋とか?」

「っ、あり得るかも〜っ」



うつらうつら、夢と現実の狭間くらいを行き来しながら、ふたりの会話を聞いていた。


「……」
「……」


話の流れが切れたところで、視線を感じた。

なんとなくイヤな予感がして、あたしの意識は一気に現実へ引き上げられる。


ぱちっと目を開けて、机から少しだけ顔をあげると……案の定。



「おはよお萌ちん〜」

「もしかして好きな人の夢でも見てたっ?」


目の前に、楽しそうな親友ふたりの顔。
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