断罪アリス

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「朱鷺……?」




アリスさんの動揺する姿はあまり見たことがない。




でも、これは動揺しないわけがない。




何せ、信頼し、傍に置いていた人が敵の仲間だったのだから。





アリスさんは風間さんに近付くと、胸ぐらを掴んだ。




「朱鷺、私を裏切ったのか?」




風間さんは何も言わない。





「朱鷺……っ!」




「──だったら、何?」




風間さんの抑揚のない冷たい声が、冷たい目がアリスさんを捕らえている。





その一言は肯定としか取れなかった。




風間さんがアリスさんを裏切った……。




それは彼女にとって、あまりにも非情なことだった。




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