断罪アリス

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薄暗い地下。




その場所にはいくつもの水槽があり、その中には≪人であって人でないもの≫が静かに眠り、息をしている。





彼らは心臓が動く限りそこで静かに眠って息をし、心臓が止まればようやく本当の眠りにつくことが出来る。





「ごめんな……、ちゃんと生かしてやれなくて……」




その水槽に向かって語りかける一人の男。





彼は彼らを生み出し、水槽に閉じ込めている者達の一人で、こうして彼らに謝罪を述べる唯一の人物だった。





──カツン。




ふと、薄暗い地下に彼以外の足音が響く。





「……よく中に入れたね。警備は厳重なはずなんだけどね」




彼は足音がした方を見て、小さく笑った。




この場所は国の機密に関わる施設だ。





国内トップクラスのセキュリティと警備網が引かれている。





が、足音の人物は容易く侵入してきた。





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