Spice‼︎
お人形さんごっこ
その日から風間は会いに来なくなり
梨花は風間の居ない生活に戻る事に苦労していた。

「藤城さん、これ違ってるみたいだけど…」

「あ、申し訳ありません。

すぐやり直します。」

「珍しいね。藤城さんが間違えるなんて…」

「すいません。」

仕事にも身が入らず、
無くしたオモチャの大切さを知った。

その日、桐原からお呼びがかかった。

「元気ないな?何かあったのか?」

桐原は梨花を心配しながらキスをする。

「別れたんです。」

「え?もう一人の男?」

「はい。だから私にはもう桐原課長だけですよ。」

「なるほどね。それでこんなに落ち込んでるワケだ。」

「すいません。」

「じゃあ今日はうんと気持ちよくしてあげるよ。」

そう言って梨花のカラダに舌を落とす。

「梨花…いつもより濡れないな。」

「そうですか?」

「うん、良くないか?」

「そんなことないですよ…気持ちいいです…」

「嘘だな。カラダは正直なんだ。」

桐原は梨花を抱く手を止めた。

「話し聞いてやるよ。

相手はどんな男だ?」

梨花が話すのを迷ってると

「風間健斗…だろ?
本当はお前の相手が誰かってかなり前から知ってたんだ。」

「え?」

「よりにもよって社長の隠し子とはなぁ。」

「隠し子?」

「社長と名字が違うだろ?

風間は愛人の息子だ。知らなかったか?」

風間には梨花の知らない人生があった。


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