副社長と愛され同居はじめます


……添い寝だけで、本当に良かったのかな?



いや、良くないな。
いずれは当然。


ただ昨日は、成瀬さんの恩情で見逃してもらっただけに過ぎない。


起こさないように、添い寝ながらにせめて心地よく眠れるようにと髪を撫でる。
すると、ゆるゆると眉間の皺が緩んだ気がして少しほっとした。


彼は、昨夜約束してくれた。
弟の学費と仕送りを、卒業まで私の名前でしてくれるということを。


私はそれに見合うだけのものを、返すことが出来ない。



『今は隣にいてくれればいい。そのうちおいおい回収する』



と言われたのでその時がくれば私はまな板の上の鯉である。


そうなる前に、彼が私を知っている理由をなんとか聞き出したいと思っている。


どうせまな板の上に乗るなら、全部知って納得した上でお願いしたい。

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