副社長と愛され同居はじめます
今朝出勤すると、私の席が庶務から消えていた。
代わりに寝耳に水の辞令を言い渡される。


庶務から秘書課に異動……こんな時期にいきなり不自然な人事異動、当然囁かれた様々な噂話。



「いくらなんでも酷い職権乱用です! おかげで好き勝手な憶測が流れ始めてますよ?!」

「どうせ愛人説とかそんなものだろう。言わせとけ」

「冗談じゃないですよ! 言われる私の身にもなってください、誰でも成瀬さんみたいに鉄の心臓なわけじゃないんですよ!」



むきー!
とヒステリックに叫びたくなる。



「どうせちゃんと婚約発表すればわかることだろう」

「それまで私は針のムシロじゃないですか……一体その婚約発表とやらはどういう手順でいつされるんですか」

「時期を考えている」



なんか怪しい話になってきたな、と眉を顰めた。
すると、彼が手にしていた書類を一度机に置き、漸く私の目を見て言った。



「大体、プラスになりこそすれ、マイナスにはならない。何が不満だ」

「は?」

「秘書課なら庶務に比べ給料も段違いだ。生活費も必要ないし全部小春の好きに使えばいい」



それは、確かにそうかもしれないが。
一番大事なことを、この人は忘れているのかわかってないのか、関係ないと思っているのか。



「いきなり私に秘書が務まるわけないじゃないですか!」

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