モブAだって恋をする
●゜。片思い。゜●



叶わないのなら、いっそのこと壊してしまえばいい。


放課後の理科室。私は静まり返ってる廊下で息を潜めて、扉の向こう側に耳をすませていた。

中では男女の楽しそうな会話が聞こえてきて、私はスマホの録音ボタンを押した。


私の好きな人は理科教師の坂口先生。

10歳も年が離れているけど、高校に入学した時からずっとずっと好きで、一目惚れだった。

正直、理科は得意科目じゃないけど頑張って勉強して、分からない箇所を積極的に聞きに行ったり。私なりになんとか先生と接点を持とうと頑張っていた。


テストでいい点が取れたら頭をポンポンとしてくれるあの大きな手。笑うと目が細くなって、少し疲れた時に外すメガネとか、たまに洋服からタバコの匂いがするところとか。

童顔なのに背が高くて、その大人の魅力に私はすっかり夢中になっていた。


片思いなのに、楽しかった。

だけど真実を知って、片思いが苦しいものへと変わった。

< 1 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop