姫、私は誓います。

誰のためだ

姫はクラウドさんとジンルークさん、ラークペイさんの腕の中で亡くなられた。それがあなたの望んだ死に方だったのでしょう。俺は最後まで務めさせて頂きました。あなたと約束した通り、魂は食させて頂きます。
姫と俺が出会ったのはこの中で一番最初だろう。まだ姫が7つの時だった。不死の樹海と呼ばれる意味不明な森が城の近くにあって、そこに姫が迷い込んでしまったんだ。

「お前、どっから来たんだ?俺は霊体しか食えないんだ、消えてくれ」

そもそも、肉体のまま俺の住み処まで辿り着くのは絶対に不可能。何せ、木の横を通る度に命を削っていくからだ。だから、こんな小さな子供が霊体にならず住み処まで来れた事に内心驚いていた。でも、それは俺の勘違いだったらしい。

「あなたに頼みたい事があり参りました」

背を向けた俺に彼女はそう言って引き下がろうとしなかったんだ。
< 76 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop