甘いあまいイチゴの香り

「っっっ!!」

私は思わず漏れてしまいそうになる声を押さえて、踵を返してお店の裏口へと急いだ。

ドアを閉めるときにバタンっ!と音が鳴ったのも構わずに走り続ける。


何でっ!!

何で……。。。


走って走って、気がつくとマンションまで帰ってきていて、そのままの勢いで部屋へと急いだ。


流れる涙も、走りすぎて流れる汗も、拭うこともせずに閉まった玄関のドアを背にズルズルと座り込んだ。


「どうして。。。やっぱり冬馬くんと菫ちゃんは付き合ってたの???
じゃあ何で私に気を持たせるようなことするのぉっっ。
わかんないよ、わかんない…………、」




そういえば、昔も同じことがあったな、、、


初めて冬馬くんを諦めようと思ったあのときと同じ。



なんの話だったのか分からないけど、
あんなに辛そうな冬馬くんの顔、初めて見た。。。

私とのことを菫ちゃんに勘違いされたから?
誤解されて、菫ちゃんを怒らせてしまったからかな。


私はあんなに力強く抱き締められたことなんてないよ。
冬馬くん、必死だった。


私が冬馬くんに甘えてたから、菫ちゃんは嫌だったんだろうな。
好きな人が、妹とはいえ女の部屋に泊まったり、構ったりするのは嫌だよね、、、

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