君の本気に触れた時…

プロローグ

「理央せんせい…」


私の事を “ せんせい ” と呼びながら近づいてくる目の前の新入社員。


「ちょっ、ちょっと……中城君っ、何考えてるの！？」

「しっ、黙って」


いやいや…黙ってじゃないでしょ。仮にもセンパイに向かっていう言葉！？

しかも、あなたまだ研修期間中の身の新入社員だから。


「だから〜…ストップだってば！！」


目の前に迫り来る大きな体を、両手で力一杯押しのけたその隙にスルリと彼と壁の間から抜け出した。


「ちぇっ…せっかくのいい雰囲気が、理央せんせーのその大声で台無しですよ。」


何がいい雰囲気だ！？どこが！？

地下にある埃っぽい倉庫に新入社員の彼を連れて、商品の在庫確認に来たはずなのに。

人気がないのをいい事に、聖人君子面したこの目の前の男は…いきなり暴走を始めた。