君にまっすぐ
オルディさんの乗り心地
『アヴァン様』に乗せてもらってから1週間ほど経つ。
あれ以降、孝俊はアヴァンではなくオルディに乗っていた。
朝、出勤してきたときにいつものように挨拶を交わすだけだ。
そういえば、この1週間は朝帰りの女性を送っていないなと思ったが、ホテルに泊まっていないだけだろう。
女性を送るときにも『オルディさん』に会えるチャンスだったのに少し残念だったな、とあかりは思う。

しかし、1ヶ月ほど経っても孝俊は女性を連れて現れることはなかった。
あかりの勤務時間は6時までなので、仕事が忙しい孝俊がその時間に現れることはほとんどない。
この1ヶ月も出勤する朝しか会うことはなかった。

1日に1回会えれば充分なはずなのに、これまで1日に2、3回会うことが多かった『オルディさん』不足をあかりは少々感じていた。


「武堂さん、おはようございます。」

いつものように8時前に現れた孝俊にあかりは挨拶をする。
もちろん、顔はいつものメロメロ笑顔だ。
あかりはいつも顔を引き締めているつもりだが、オルディを前にするとすぐに緩んでしまっていることに気がついていない。
そんなメロメロ笑顔を前に孝俊は苦笑しながら挨拶を返す。

「武堂さん、なんだかお疲れですか?少し顔色が悪いようですが。」

「いや、少し寝不足なだけだよ。」

顔に疲れが出ている孝俊が気になり、あかりは声を掛けるが、孝俊はあまり触れてくれるなとばかりに軽く言葉を返し、その場を立ち去った。
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