次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
妹の次の肩書き
会社の始業時間は9時だけど、私は大抵7時には出社する。

でも、それは私だけじゃなくて。所属する秘書課はその業務上、他の課に比べて出社時間が早い人が多いと思う。朝イチの会議の準備などやる事も多いし、何より役員が出社する前でなければ書類処理をまとめてするタイミングが取れないのだ。

それでも7時半前にはまだほとんど人がいない。
その静かな時間にゆっくりと朝の準備するのが好きなのだ。

「相変わらず早いですね」

珈琲の良い香りと一緒に現れたのは槙村秘書室長。昔は営業企画部にいたらしいが、私が就職と同時に配属になった時には秘書課になくてはならない人物だった。もちろん上層部からの信任も厚く、いずれは経営に携わる立場になるんじゃないかともっぱらの噂だ。

「はい。少し確認したい事があったので」

パソコンを立ち上げながら返事をすると、珍しく少し困った表情をする。

「そんな事言って、毎日早いじゃないですか。それに昨日は常務のパートナーでパーティに出席していたのでしょう?妙齢の女性なのに、そんな事ではプライベートが逃げてしまいますよ。」

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