冷徹副社長と甘やかし同棲生活
0.出会い


 ようやく最終面接までやってきた。もう絶対に失敗したくない。

 必ず内定をもらって、辛い辛い就職活動から卒業するんだ――。


「ではまず自己PRからお願いします」

「はいっ! あ、あの、わたしは、ええと……」

 

 はりつめた空気と面接官の冷たい声を聞いて、頭のなかが真っ白になった。
 何回も作り直し、何十回も練習した自己PR文がひとつも出てこない。

 緊張しすぎて、自分の名前すらうまく声に出せない。
 

 面接官と目を合わすこともできず、震えを隠すようにスカートの裾をぎゅっと握りしめた。


 どうしよう、このまま何も話さなければ確実に落ちてしまう。
 もうすでにダメかもしれないけど、これまでの努力を無駄にしたくない。

 ちゃんと面接を受けたい。だから、お願いだから、落ち着いて私……。



 
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