冷徹副社長と甘やかし同棲生活
1.同棲生活の始まり

■鬼の副社長


 【鬼の副社長】
 
 その言葉を初めて聞いたのは、入社して三週間が過ぎた頃だった。
 約二週間の研修を終え、職場に配属されて一週間。

 まだ新しい環境になれていない私でも、今日の職場はいつもと違うことに気づいていた。


「菅野さん、今日は何かあるんですか?」


「あー、そっか、カッシーにはまだ言っていなかったよね。今日は鬼の副社長が来るんだよ」


 直属の先輩であり、隣の席の菅野さんに聞いてみると、予想だにしない返事がかえってきた。
 副社長が話題に出て心が跳ねた。でも、鬼ってどういう意味だろう。

 私の知っている副社長は優しい笑顔が魅力的で、鬼という言葉は似合わない。
 きっと、もう一人副社長がいて、その人は震え上がるほどに怖いのだろう。


 私は勝手にそう解釈をして、菅野さんとの会話を続けた。


  

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