お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

○臨海学校、1日目

*
*

「わぁぁ〜!!」


バスを降りると、もうすぐそこに海が見える。


とても同じ県内だとは思えない。
だって、家の近くなんて住宅地ばかりで自然なんて感じられないんだもん。


「そんなに楽しみにしてたの?目がキラキラしてるけど」


夏奈ちゃんの質問に、私は激しく頷いた。

楽しみに決まってる。


「だって、海なんて小学生のころ以来だよ?」


そう、本当に久しぶり。
最後に来たのは、小学生の、しかもたしか2、3年生くらいのころ。

だから、“海に行った” っていう記憶しかなくて。何をしたかなんて全然覚えていない。



「え、そうなの?! 私なんて、部活の合宿で毎年来てたからさ〜、もう見慣れた感じ」

「そっか……合宿とか、憧れちゃうなぁ」

「憧れるようなものじゃないよ?……毎朝8kmダッシュとか、スパルタスケジュールだったし」



夏奈ちゃんは、中学のときバレー部だったんだって。しかも、なかなかの強豪校だったみたいで。

夏奈ちゃんは活発だし、身長も高いし、いかにもって感じだよね。



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