あまりさんののっぴきならない事情
「うわーっ。
 待って、違う違うっ」

 殴られそうな気配に男は叫ぶ。

 さっと胸許に手をやった男に、殺られるっ! と思ってしまったが、男の方が、
「ああっ。
 ないっ!」
と悲鳴をあげていた。

「なんだ、お前っ。
 警察を呼ぶぞっ」
と男の胸ぐらをつかんだ海里の腕をあまりはつかむ。

「ちっ、違うの違うのっ。
 びっくりしただけなのっ。

 その人は――」

 お隣さん、と言おうとしたとき、男が反撃の意思がないのを示すようにか両手を上げて言ってきた。

「警察の者です」

「……は?」

 海里と二人、間抜けな声を上げていた。






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