イジワルな副社長に恋してる!
(ー どこで食べるんだろ?)
とりあえず、リビングに置いてもらった。
そして、ピアノの部屋に戻ると、
「先生は、そこで食べて。俺はまだいいから。」
と言った。
「じゃあ、あたしも後で…」
という言葉を遮ぎり、
「いいから。朝から疲れただろ。ゆっくりそこで食べろ。」
絢香の顔をじっと見て、それだけ言うと、またピアノに向かった。

(ー やめてほしい。ホント…こうやって、たまに優しくするから。こんな、命令口調にドキドキするなんて…。)

絢香は、軽く首を振り、さっきの紅茶とアフタヌーンのセットを取りに言った。

晃の頼んでくれた、アフタヌーンティーのセットは、どれも食べるのがもったいないぐらい可愛かった。三段のセットで、スコーンやプチケーキ、マカロン、サンドイッチ…が乗っていた。

絢香はそれに夢中になり、ポーカーフェイスが崩れ、笑顔でそれ眺めていた。

晃はチラッとその様子を見て、クスッと笑った。
(ー よかった。)
晃は、少し心が穏やかになったのを自分で感じた。

(ー 優しくしたい、触れたい。でも、どうしていいかわからない。)
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