イジワルな副社長に恋してる!

二人は、部屋をでると、すこしブラブラ歩きながら、レストランに向かった。


湖に面した、フレンチレストラン。
照明が少し落ちた店内は、大きな窓ガラスの向こうに湖が浮かんでいた。
そこに向かうように、テーブルとソファがあり、2人並んでソファーに座ると、目の前に広がる景色に目を奪われた。
湖の向こうに見える、深いグリーンと淡いスポットライト。
あまりにも幻想的な世界に絢香はしばらく、その景色に見入っていた。
「きれい…。」


晃の甘やかすという言葉どおり、
最高の場所で、最高の料理だった。


昨日の夜は、泣きながら部屋で過ごしたのが噓のように幸せだった。
「なんか、幸せすぎて怖いかも。」
絢香は、少し不安な顔をして晃を見た。
「今まで泣いた分、取り戻して。俺は絢香が隣にいてくれるだけでいいから。これからはきちんと、優しくしたいから。」

デザートのチョコレートケーキに手を伸ばしたところで、晃はいった。

「後で、少し外を散歩しようか。」
「うん。」
ワイングラスを片手にそう言った晃を絢香は見た。
あまりにも、綺麗で、色気の漂う晃を見て、胸が高鳴った。
そんな、絢香を晃は優しい瞳で見た。

(- こうしてると、やっぱり大人の男の人だな。)


こっち、と案内されるがままに着いてきた先に現れたのは、ライトアップされた荘厳なチャペルだった。緑の中にあるそのチャペルに絢香の時間は止まったように感じた。
「おいで。」
と手を引くと、晃はそのチャペルの中に入った。
「入っても大丈夫なの?」
と恐る恐る聞く絢香に
「大丈夫。」
と笑った。
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