失礼男の攻略法
こいつと、もっと仕事してみたい、そう思ったのは久々だった。
だから、本当はこの事案に関心なんてなかったけど、めんどくさいオーダーをあえて振ってみたりした。
ラウンジでやけ酒してた時も、あいつは立派な志なんてないって言ってたけど、俺が聞いてる分には充分譲れないものをもって仕事をしてるんだと思った。
そういうヤツと仕事するのは楽しい。
俺が思ってもないような視点で世界を見せてくれるから。
今、上がってきた提案は文句のつけようがない。
だけど、これですんなり通してしまうのは面白みに欠けてしまう。
「リーガルチェックはOKっていうけど、それって前提条件でしょ?僕の出したオーダー、覚えてる?」
ニコニコしながらそう問いかけると、一気に人事メンバーの顔が青ざめていくのが見て取れる。それを内心でほくそ笑んでいると
「国内一の優良企業になるようにと」
責任者の原田が口を開いた。