女嫌いと男性恐怖症

「それにしても傑作だったな。あれたぶん、アキのこと女だと思ってたぜ」

 直樹が、愉快なことを見つけた顔をする。
 反対に晶は、嫌そうな顔だ。

 コップに注がれたジャスミンティーを飲み干し、乱暴にテーブルに置いた。

「女なんかに間違えられてたまるか」

 サラサラと流れる髪をかきあげた下にある瞳には、不満そうな色を浮かべている。

「本当に傑作だぜ。女嫌いな晶が女に抱きつかれて、それが女と間違われたからなんてな」

 ハハッと、直樹は乾いた笑いをたてた。

「抱きつかれてない。しがみついてきただけだ」

 他人事だと思いやがって。

 非難する視線を送っても、直樹は気に止める様子もなく笑っている。
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