女嫌いと男性恐怖症

 二人の様子を怯えた目で見るちんちくりんに気づいた直樹が、近づいてニコッとした。

 ちんちくりんは後退りする。

「怖がることないさ。中学生くらい?」

 いや、盛っただろ。
 どう見ても小学生だ。

 そう呆れていると、ハァーッハッーハーと激しい息遣いが聞こえる。

「ちょっと! 大丈夫? 今、袋を持ってくるから」

 陽菜が慌てたように背中をさすって、キッチンへ向かう。

「大丈夫か?」

 直樹が背中に手を出そうとすると、陽菜の声が飛ぶ。

「直樹は、晶くんの隣に戻って! いいから早く!」

 直樹は意味が分からないまま、陽菜の剣幕に圧倒されて晶の隣に戻る。

 陽菜は、紙袋をちんちくりんの口に添えると、背中をさすった。

「ほら。息を吐いて。ゆっくりよ。そうゆっくり呼吸して」

 はぁ。はぁ。と、少しずつ呼吸が整っていく。

 しばらくして紙袋をどかした顔は、真っ赤で涙目のボロボロだった。

「私もあまり信じてなくて、ごめんなさいね」

「いえ、こちらこそご迷惑を」

 それだけなんとか絞り出し、苦しそうに呼吸をする背中を撫でつつ、陽菜は事情を説明し始めた。
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