マ王の花嫁 
「どうした、ジョセフィーヌ」
「あっ!あの・・このお肉は・・・?」
「牛のテンダーロインを軽く焼いたものだ。柔らかくて美味だぞ。食べるか?」
「あ・・・・・」

「はい、いただきます」と返事をする前に、ライオネル王が一口大に切ったお肉を、私の口に近づけていて・・・。
私は、反射的にそれを口の中へと入れていた。

「・・ぁ。本当。口の中でとろけるように柔らかくて美味しいです!」
「そうか。この後の為にも、もっと食べて精をつけておけ」
「がっ!!なななな何の・・・っ!」

慌てふためく私に、涼やかな表情をしているライオネル王は片眉を上げると、「ダンスに決まっているだろう」と言ってハハハッと笑った。

か・・・からかわれた・・・王に・・・。

王の余裕に、歴然とした経験の差を感じずにはいられない。
そして何も言い返せず、取り繕うこともできない自分が、とても情けない。
本物のジョセフィーヌ姫なら、もっと軽くあしらっていたはずだ。

と言うより、数時間後には、私はライオネル王を殺さなければならない・・・。

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