ハイスペックイケメンなんてお呼びじゃない!~バツイチナースは恋に無関心~

ハイスペックイケメンには死角なし? side葉月

フッと料理の手をとめて子ども達を見ると先生と内海さんが子ども達と一緒に遊んでいた。

めずらしいことに愛想は良いけどなかなか若い男性にはあまり懐かない弥生が内海さんに満面の笑みを向けて遊んでいる。

しかも抱っこまでしてもらっている。

『めずらしい...』


そう呟くと隣の美春さんも顔を上げて子ども達を見る。


『あら、弥生ちゃんが航くんに抱っこされてる。
ホントに珍しいわね。
保育園の体育の男性保育士にすら懐くまで半年以上掛かったのに』


そうなのだ。

弥生は産まれてから近くに若い男性が居たことは無い。

私は1人っ子だったし、近くにいた男性は私の父であり弥生の祖父くらいだった。
前の保育園は女性の保育士しか居なかったので1年前に今の職場になり転園してからの保育園には体育担当で2名の若い男性保育士が居るが。
まぁ、懐かないし近寄っていかなくてなかなか大変だった。


何しろ出産だって時に前夫がやってくれた事により離婚したので弥生は自分のパパを知らないし、私は許せなくて抱かせることもせず離婚したのだ。

まぁ、その事には全く後悔はないけれど。

最近弥生が菜穂ちゃんと真穂ちゃんと先生のやり取りを見て寂しそうにしているのには気づいていた。

保育園もたまにパパのお迎えの子たちも居るからきっとウチにパパが居ない事の違和感を感じていても聞いては来ないのも複雑な気持ちだからだろう。


でも、若い男性になかなか懐かないし娘という事もあり私は全く再婚などは視野に入れてなかった。

やらかされた事が事だけにもう結婚なんてうんざりだと思ってしまったのもある。


でも、内海さんに笑顔を見せて嬉しそうな姿を見ると本来あったはずの家庭の形が見えて少し私も切ない。

ホントなら弥生だってちゃんとパパが居たはずなのに。
でも許せなかったのだから仕方ない。


これは一時の事。
ちょっともしかしたらの姿が見えただけだ。

しかし、仕事も出来て人が良くて、子どもとも遊べるってホントになんて、ハイスペックなのか。


この人出来ない事ないんじゃないかな。

目で追いつつ、出来る人ってなんでも出来るのねとのほほんと考えていた。
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