最後の恋
気づくと、玄関にいる人もまばらになっていてほとんどの生徒たちが自分たちの新しいクラスに向かっていた。


何で紫乃の名前がない…の?


学校側のミスで漏れてるだけ?


何が起きているのか分からなかった。


すぐにでも先生に確認したかったけど、今にもチャイムがなりそうな時間になっていた事に気が付き、慌てて2年1組の教室に向かった。


だけど気持ちは落ち着かなかった。


一ノ瀬君と同じクラスになれた事にさっきまでは密かに喜びさえ感じていたのに、今はただ紫乃の存在が消えてしまったかのような錯覚を覚え言い知れぬ不安に包まれていた。


数日前に会った別れ際の彼女はいつもと変わらない笑顔だったのに…。
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