最後の恋
私たちは、水曜日のお昼休みのカウンター当番になった。


そして、経験者でもあった私が貸し出し用PCの使用方法や仕事内容などを詳しく一ノ瀬くんに教えることになった。


初日の今日は、図書室に来る生徒が割と多くて前半は忙しかった。


教えるといってもカウンターの中で2人並んで座り、一ノ瀬君は私の隣で私の作業を見ていたのでPCの使い方は早速覚えたみたいだ。


「流石に、もう上手だね…」


人の波が引き、静けさの戻った図書室の中で一ノ瀬君がそう話し出した。


「え…?」


私がそう聞き返すと、一ノ瀬君は思わず言葉に出していたことに自分でも少し驚いた様子で


「あ…初めて俺が本を借りに来た時は噛んでたから…。」


彼は、私の恥ずかしすぎる話を懐かしい過去を振り返るかの様に、優しい笑顔を浮かべながらそう言った。
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