一ノ瀬君の志望校が分かったところで、同じところを目指そうとか思っていたわけじゃない。


私自身、志望校は決まっていたし…私の片思いも高校を卒業して一ノ瀬君に会えなくなれば、時間と共に気持ちも消えてくれるはず。


そう思ってたし、今もそう思ってはいる。


だけど、一ノ瀬君が日本からいなくなるとは夢にも思っていなかった。


高校を卒業したらもう会えなくなるって分かってたはずなのに、今更こんなにショックを受けてる自分がひどく滑稽に思えた。


どこかで期待するように夢を見ていたわけじゃないけど、急に現実を突きつけられた気がした。


あと少しで一ノ瀬君は日本からいなくなってしまう。


そうだ、一ノ瀬君は英語も得意だったもんね。


彼の話す英語は発音もとても綺麗で、嫌いではないけど英語の発音が苦手な私は一ノ瀬君のそんな所も尊敬していた。


今は廊下側前方と窓側後方で随分離れているけど、この教室で彼と過ごせるのも、彼を見ていられるのもあと僅かな時間しか残されていないんだ。


冬服のブレザーを着た一ノ瀬君の後ろ姿をそっと眺めながら、そう思った。





そして私たちはその3ヶ月後に無事、高校を卒業した。