左手にハートを重ねて
【1】恋はカクテルの泡のように

「優香《ゆうか》、結婚おめでとう」

 それは、披露宴の2次会でのことだった。

 式場のそばにあるダイニングバーを貸し切りにして、中学の同級生が私たちの結婚を祝うために集まってくれている。

 小学校から高校まで、代わりばえのないメンツで進学していく、地方都市の小さなコミュニティ。

 でも、卒業後はそれぞれの新天地へと巣だっていき、顔を合わせるのは成人式以来という友人も数多くいた。
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