日常に、ほんの少しの恋を添えて
 確かに最近変だな、とは思ってた。前みたいに会おうとか言ってこないし、電話も来ないし、SNSでメッセージ送っても返事が返ってこなかったり。でもお互い新社会人で忙しくしてるから、まあいいかなんて思っていたらこの有様だ。

「それに趣味だかなんだか知らないけど手作りのお菓子くれるのもさ……美味かったけど俺、どっちかっていうと辛党じゃん? だからちょっと毎回は……キツかったんだよね」

 なんだ……だったら言ってくれればよかったのに。美味しいって言ってくれたからてっきり好きなんだとばかり思ってた。

「……そっか、ごめん」

 とっさに謝罪の言葉が出てしまった。
 だけどさすがに相手もちょっとは良心が痛むのか、私の謝罪に表情を曇らせる。

「いや……志緒は悪くないよ、俺がちゃんと言わなかったから…………」

 最後の方は声も小さく、もごもごしていて何言ってるのかわからなかった。
 気まずい空気が私と彼の間を流れていく中、こういう場面ではどうしたらいいのかと考える。
 だけどどんなに考えても、彼を今更繋ぎ止めたい、別れないでと縋りたいなどとは思わない。
 なぜならばきゅっと口を引き結んで黙り込む目の前の男性は、確かに好きだったはずの彼。なのに別れを告げられた途端、愛情がすうっと冷めていくのが自分でもわかったから。
 きっと、自分のこういうところがいけないのかもしれない。
 恋愛に対して温度が低めなところが。
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