私が秘書課に勤務するようになってから一カ月が過ぎた。
 相変わらず専務のいきなり行動には驚かされるし、ついていくのも大変だけれど、新見さんが言うように徐々に慣れてきた。人間の順応力ってすごい。
 そして新見さんが退社する日も近くなって、私は寂しい気持ちで彼女との毎日を過ごしている。
 そんなある日、文華からランチの誘いがあり、私は彼女と外の和食処に来ている。
 注文を済ませた私たちは、運ばれてきたお茶を飲みほっと一息つく。

「なんか志緒とご飯食べるの久しぶり。秘書生活慣れた?」

 史華がニコニコしながら尋ねてくる。これはきっと専務のことを聞きたいんだろうな、となんとなく察知した。

「最近やっとね。はじめはいろいろわかんないことだらけでオロオロしたけど。先輩の新見さんが根気よく教えてくれるからほんと助かったよ。でもその新見さん、結婚してもうじき退社しちゃうんだけど……」
「え、そうなんだ。それは嬉しいような、悲しいような……」

 ほんとに。最近は専務どうのこうのより、新見さんとのお別れがつらい。
 それよりも、と史華が身を乗り出してくる。

「専務よ! 私もこの間見たけど、マジイケメンだったよ!! あんな人が近くにいて好きになっちゃったりしないの?」
「……好きに……なったり?」

 史華に言われて思わず斜め上を見つめ、専務を思い浮かべた。

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