日常に、ほんの少しの恋を添えて
この気持ちはアレです
考えてみたらこうやって専務の運転する車に乗せてもらうのは何度目だろうか。
最初は緊張して、専務の隣で所在なくしていた私だったけど、すっかり慣れてしまった。もう私のアパートの住所も知られているし、専務も私を車に乗せることを特に何も思っていないように見える。
いや、慣れちゃダメでしょ……私と専務はこうやって偶然会って一緒に買い物なんかしたりしちゃってるけど、それどころか私よく考えたら専務の家に泊まった(あんまり記憶なし)こともあるっていう状況だけど、上司と部下なのだ。
さっきから沸々と私の心の奥底から込み上げるこの気持ちを彼に気付かれてはいけない。
そう思うと余計意識してしまって、私は専務の顔を見ることができないでいる。
「さっきから黙ってるけど、どうした」
私のいつもと違う様子に気が付いたのか、専務が気にするように私をちらりと窺う。
「いえ、特に何もないです」
「いつも一人で買い物に行くのか」
「……はい、ひとり暮らしですし……割と一人で必要な物だけ買って帰ることが多いですね」
「ふーん。長谷川はあまり人に依存しないタイプなんだな」
一人納得するように頷きながら、専務がそう呟いた。
最初は緊張して、専務の隣で所在なくしていた私だったけど、すっかり慣れてしまった。もう私のアパートの住所も知られているし、専務も私を車に乗せることを特に何も思っていないように見える。
いや、慣れちゃダメでしょ……私と専務はこうやって偶然会って一緒に買い物なんかしたりしちゃってるけど、それどころか私よく考えたら専務の家に泊まった(あんまり記憶なし)こともあるっていう状況だけど、上司と部下なのだ。
さっきから沸々と私の心の奥底から込み上げるこの気持ちを彼に気付かれてはいけない。
そう思うと余計意識してしまって、私は専務の顔を見ることができないでいる。
「さっきから黙ってるけど、どうした」
私のいつもと違う様子に気が付いたのか、専務が気にするように私をちらりと窺う。
「いえ、特に何もないです」
「いつも一人で買い物に行くのか」
「……はい、ひとり暮らしですし……割と一人で必要な物だけ買って帰ることが多いですね」
「ふーん。長谷川はあまり人に依存しないタイプなんだな」
一人納得するように頷きながら、専務がそう呟いた。