好きになった彼は幽霊でした。

待ち時間 side優馬


雪姫ちゃんが図書室を出た後。
俺は空を見ながら考えていた。


未練は二つとも消したはずなのに、何故俺はまだ消えないのか。


“本当は言い出せなかったんだよ。”


“今、君に言ったらほんとに終わっちゃうからね。まだ秘密。”


なんて言ったけど、実は俺自身もはっきりとした理由を分かっていなかった。


でも、思い当たる節はある。


それはあの日。


『ずっと好きな子がいるんだ。その子はね、君なんだ。』


俺がそう言ったら、雪姫ちゃんは…


『その子が羨ましい。』


そう言った。


もしかしたらあの時、雪姫ちゃんは最後の台詞を聞いていなかったんじゃないかと思う。


それなら、まだ消えない理由の説明がつく。
まぁ、羨ましいの意味が分からないけど。

< 57 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop