取り戻したい・・愛
4 出会いと告白

✫✫告白


私は、外科の研修中に
何度か君嶋さんと合った。

君嶋さんのご家族の方は
ICUから一般病棟に移るらしい。
君嶋さんが、嬉しそうに話してくれた。

君嶋さんは、父親を知らず
母親から捨てられて
暴れ回っていたときに
今のお父さんに引き取られたらしい。

生まれながら父親を知らないのは
私と同じだ。
お母さんは、生まれながら体の弱い人で
私を産むのもかなり反対した
と、陽子先生は言っていた。

だから、
私も殆どお母さんを知らない。

養護施設での生活も話した。

優しい陽子先生と
ずっと一緒だった風香の話しを。

私達は、お互いの境遇が似ているからか
会うたびに話をした。

君嶋さんが、忙しく会えないことも
あったが、私の研修も最後の日に
君嶋さんから告白された
「海愛。俺と付き合ってくれるか?」
「・・・・・?」
「ああ、お前のことだ。
どこに?とか思っているだろう?」
「えっ、違うんですか?」
「くくっ、お前な。
俺の女になってくれるか?って意味。
どうだ?」
みるみるまに、海愛は真っ赤になり
「・・・・・・」
「海愛?」
「・・私、恋愛とかしたことなくて
好き?とか・・わからなくて・・」
「ああ、なら俺が教えるやる」
「・・・・・はい。」
「だが、海愛。
俺の仕事は表向きは会社を
経営しているが、裏ではやくざだ。

お前に辛い思いや寂しい思いを
させる事になるかもしれない。

だが、俺は、海愛以外愛さないし
俺が命に変えても守る
だから、一緒にいて欲しい。」
「うふふっ。私は看護師になるのです。
少しの事では、怖がりませんよ。
でも、ありがとうございます。」
と、言うと
陽翔さんは、一瞬、顔を反らしてから
私を抱き締めた。
「いいか?海愛。
笑いかけるのは俺にだけだ。
お前の笑顔は破壊的だ。」
「そんなこと言うのは、
陽翔さんだけですよ。
でも、陽翔さんがそういうなら努力します。」
と、言うと
「ああ。」
と、言って
私の唇にキスをした。

触れるだけのキスだったが
私は、かちんこちんになって
またまた、陽翔さんに笑われてしまった。
< 19 / 91 >

この作品をシェア

pagetop